
英初版:Collins 1935年
米初版:Dodd, Mead 1934年(米国版タイトル:Murder in Three Act)
内容

引退した俳優が主催するパーティで、老牧師が不可解な死を遂げた。数カ月後、あるパーティの席上、俳優の友人の医師が同じ状況下で死亡した。俳優、美貌の娘、演劇パトロンの男らが事件に挑み、名探偵ポアロが彼らを真相へと導く。ポアロが心憎いまでの「助演ぶり」をみせる、三幕仕立ての推理劇場。新訳で登場。
(早川書房 クリスティー文庫)

引退した俳優チャールズ・カートライトの自宅でのパーティの席上、善良な老牧師がマティーニを口にしたとたん苦しみだし、死亡した。数カ月後、今度はチャールズの友人の医師が、自宅で催したパーティの最中に、ポートワインを飲んで死んだ。出席者も、死の状況もまったく同じだった。捜査の結果、二人とも毒殺であることが判明した。だが、犯人はどのようにして、大勢の中で、狙った人物に毒入りのグラスをとらせることができたのか?二つの死にはどのような関係が?ポアロは、大胆な仮説を組み立てた…。ミステリの女王の中期の代表傑作。
(早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫)

嵐をよぶ海燕のように、おしゃれ者の探偵ポワロの現われるところ必ず犯罪がおこる!引退した俳優サー・チャールズのパーティの席上、老牧師がカクテルを飲んで急死した。自殺か、他殺か、自然死か。しかしポワロは、いっこうに尻をあげようとしなかった。二幕、三幕と進むにつれて、小さな灰色の脳細胞、ポワロの目が光り始めていく……。
(東京創元社 創元推理文庫)
目次
- 第一幕 疑惑
- 1. 海浜荘〈カラスの巣〉
2. 晩餐前の出来事
3. チャールズ、考える
4. 現代のエレーン
5. エッグからの逃亡 - 第二幕 確信
- 6. チャールズ、手紙を受け取る
7. 失踪した執事
8. いったい、だれが?
9. 召使いの証言
10. 執事の部屋で
11. インクのしみに関して
12. 作戦計画 - 第三幕 真相
- 13. バビントン夫人
14. メリー夫人
15. エルキュール・ポアロ再登場
16. 状況報告
17. 仕事の分担
18. シンシア・デエカズ
19. デエカズ大尉
20. アンジェラ・サトクリッフ
21. ミュリエル・ウィルズ
22. オリバー・マンダーズ
23. ポアロ、シェリー・パーティを催す
24. ギリングでの一日
25. ド・ラッシュブリッジャー夫人
26. ミルレー女史
27. フィナーレ
登場人物
チャールズ・カートライト | 俳優。カラスの巣荘主人 |
サタースウェイト | 芸術愛好家。‘人生の傍観者’ |
サー・バーソロミュー・ストレンジ | 高名な精神科医。メルフォード・アビイ主人 |
ヴァイオレット・ミルレー | チャールズ・カートライト秘書 |
アンジェラ・サトクリッフ | チャールズ・カートライト友人。女優 |
フレディ・デエカズ | 競馬狂。大尉。シンシアの夫 |
シンシア・デエカズ | アムブロジン商会経営者 |
メリー・リットン=ゴア | 伯爵夫人。デヴォンシャ在 |
ハーミオン(エッグ)・リットン=ゴア | リットン・ゴア伯爵夫人の娘 |
スティーブン・バビントン | 牧師。ルーマス教区長 |
マーガレット・バビントン | バビントン師妻 |
ミュリエル・ウイルズ | 劇作家 |
オリバー・マンダーズ | ジャーナリスト志望の青年 |
テンプル | チャールズ・カートライト宅女中 |
ジョン・エリス | ストレンジ医師執事 |
ジョンソン大佐 | 警察署長 |
クロスフィールド | 警部 |
エルキュール・ポアロ | 私立探偵 |
映像化
- 三幕の殺人 Murder in Three Acts
- 放送:1986年9月30日 米
- 監督:ゲイリー・ネルソン 脚本:スコット・スワンソン
- 出演: ピーター・ユスチノフ(ポアロ)、 トニー・カーティス(チャールズ・カートライト)、 エマ・サムズ(エッグ)、 ジョナサン・セシル(ヘイスティングス)
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- 三幕の殺人 Three Act Tragedy
- 「名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT XII
- 放送:(英ITV):2010年1月3日 (NHK)2010年9月16日
- 監督:アシュレイ・ピアース 脚本:ニック・ディア
- 出演: デビッド・スーシェ(エルキュール・ポワロ)、 マーティン・ショウ(チャールズ・カートライト)、 キンバリー・ニクソン(エッグ)、 アート・マリック(バーソロミュー・ストレンジ)、 スザンヌ・バーティッシュ(ミルレー)、 ロナン・ヴィバート(デイカーズ大尉)、 アナスタシア・ヒル(シンシア・デイカーズ)、 ケイト・アシュフィールド(ミュリエル・ウィルズ)、 ジェーン・アッシャー(メアリー)、 ナイジェル・ペグラム(バビントン牧師)、 アンナ・カータレット(バビントン夫人)、 トム・ウィズダム(オリバー)、 トニー・マーズリー(クロスフィールド)、 デビッド・イェランド(ジョージ)
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- Drame en trois actes
- 「アガサ・クリスティーの謎解きゲーム」Les Petits Meurtres d'Agatha Christie
- 放送:2018年8月31日
- 演出:Nicolas Picard-Dreyfuss 脚本:Sylvie Simon
- 出演:サミュエル・ラバルト、ブランディーヌ・ベラヴォア
翻訳履歴
1935 『探偵小説 三幕の悲劇』河瀬廣訳 黒白書房(世界探偵傑作叢書15) 裝幀:山下謙一
1951 『三幕の殺人』田村隆一訳 早川書房(世界傑作探偵小説シリーズ)
1954 『三幕の殺人』田村隆一訳 ハヤカワ・ポケットミステリ(159) 解説:江戸川乱歩「クリスティー略伝」
1955 『三幕の殺人事件』松本恵子訳 大日本雄弁会講談社(ポワロ探偵シリーズ4)
1956(1982) 『三幕の悲劇』西脇順三郎訳 創元推理文庫 解説:中島河太郎
1956(1992) 『三幕の悲劇』西脇順三郎訳 創元推理文庫 解説:中島河太郎 (新装版) 表紙:ひらいたかこ
1957 「三幕の悲劇」西脇順三郎訳 『世界推理小説全集 42』東京創元社
1961 「三幕の悲劇」西脇順三郎訳 『世界名作推理小説大系 別巻4』東京創元社
1961 『三幕の殺人』赤冬子訳 角川文庫
1975 『三幕の殺人』田村隆一訳 ハヤカワ・ポケットミステリ(159)
※改訂
1884 『三幕殺人事件』中村妙子訳 新潮文庫 解説:中村妙子
1988 『三幕の殺人』田村隆一訳 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-84) 解説:田村隆一「冷たい炎」 表紙:真鍋博 ISBN:4150700842
2003 『三幕の殺人』長野きよみ訳 早川書房(クリスティー文庫9) 解説:日色ともゑ ISBN:4151300090
2004 『三幕の悲劇』花上かつみ訳 講談社(青い鳥文庫)