
英初版:Collins 1972年
米初版:Dodd, Mead 1972年
『五匹の子豚』『マギンティ夫人は死んだ』を先に読んでおくことを推奨します。
内容

推理作家ミセス・オリヴァが名づけ親になったシリヤの結婚のことで、彼女は先方の母親から奇妙な謎を押しつけられた。十数年前のシリヤの両親の心中事件では、男が先に女を撃ったのか、あるいはその逆だったのか?オリヴァから相談を受けたポアロは、“象のように”記憶力のよい人々を訪れて、過去の真相を探る。
(早川書房 クリスティー文庫)

探偵作家のミセズ・オリヴァは、一番会いたくない人物ミセズ・バートンから無理難題を持ちかけられた。オリヴァが名づけ親になったシリヤという娘が今度バートンの息子と結婚することになった。ついては昔起ったシリヤの両親の死亡事件を再調査してくれまいかというのだ。父親が母親を殺したのか、それともその逆だったのか、未解決に終った事件だった。しかし警察も匙を投げた10数年も前の事件を今さら…。困り果てたオリヴァはその夜、友人のポアロのもとを訪れた。得意の「回想の殺人」を描いて、人間の運命を凝視する女史晩年の代表作。
(早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫)
目次
- 1. 文学者昼食会
2. 象に関する最初の言及 - 第一部 象
- 3. アリスおばさんの手引き
4. シリヤ
5. 過去の罪は長い影をひく
6. 旧友の回想
7. ふたたび子供部屋に
8. ミセズ・オリヴァの話
9. 象探しの成果
10. デズモンド - 第二部 長い影
- 11. ギャロウェイ警視とポアロ覚え書を検討する
12. シリヤ、エルキュール・ポアロに会う
13. ミセズ・バートン=コックス
14. ウィロビー医師
15. ヘア・スタイリスト・ビューティシャン、ユージン・アンド・ローズンテル
16. ミスタ・ゴビーの報告
17. ポアロ出発を告げる
18. 間奏曲
19. マディとゼリー
20. 審問廷
登場人物
アリアドニ・オリヴァ | 探偵作家 |
ミス・リヴィングストン | オリヴァの秘書 |
ミセズ・バートン=コックス | 未亡人 |
デズモンド | バートンの養子 |
シリヤ・レイヴンズクロフト | オリヴァの名付け子 |
サー・アリステア・レイヴンズクロフト | 将軍。シリヤの父 |
マーガレット・レイヴンズクロフト | シリヤの母 |
ドロシア・ジャロー | シリヤの伯母 |
マディ・ルーセル | シリヤの家庭教師 |
ゼリー・モーウラ | 同上 |
ジュリア・カーステアズ | オリヴァの友人 |
ミセズ・マッチャム | 同上。 |
ミセズ・マーリーン | 同上。 |
ウィロビー | 医師 |
ミセズ・ローズンテル | 美容院経営者 |
ミスタ・ゴビー | 情報屋 |
ギャロウェイ | 元警視 |
バート・スペンス | 同上 |
ジョージ | ポアロの従僕 |
エルキュール・ポアロ | 私立探偵 |
映像化
- 象は忘れない Elephants Can Remember
- 「名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT XIII
- 放送:(英ITV):2013年6月9日 (NHK)2014年9月8日
- 監督:ジョン・ストリックランド 脚本:ニック・ディア
- 出演: デビッド・スーシェ(エルキュール・ポワロ)、 ゾーイ・ワナメイカー(アリアドニ・オリヴァ)、 ヴァネッサ・カービー(シリア・レーブンズクロフト)、 アレキサンドラ・ダウリング(マリー・マクダーモット)、 イアン・グレン(ウィロビー博士)、 グレタ・スカッキ(バートンコックス夫人)、 ダニー・ウェブ(ギャロウェイ警視)、 エイドリアン・ルーキス(レーブンズクロフト将軍)、 ヴィンセント・リーガン(ビール警部)
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翻訳履歴
1973 「象は忘れない」『ミステリマガジン』1973年2月号~5月号 中村能三訳
1973 『象は忘れない』中村能三訳 ハヤカワ・ポケットミステリ(1211) 解説:「クリスティーとクリスマス」
1979 『象は忘れない』中村能三訳 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-44) 解説:「晩年のクリスティーとポアロ」 表紙:真鍋博 ISBN:4150700443
2003 『象は忘れない』中村能三訳 早川書房(クリスティー文庫32) 解説:芦辺拓「アガサを忘れない─クリスティーとポアロの到達点」 ISBN:9784151300325